アスファルト舗装計算ツール:米トンと lb/ft³ を t 建ての合材発注に読み替える
舗装する面積と締固め後の厚さを入れると、体積、必要な合材の質量(トン)、ロスを含んだ発注量、材料費の目安を返すツールです。
キャリブレーションの注意。密度の既定は 145 lb/ft³、質量の単位は米トン(short ton = 2,000 lb = 907 kg)、厚さはインチ、単価は $/ton です。**日本の「舗装の構造に関する技術基準」、舗装設計施工指針の TA 法(等値換算厚)、合材の t 建て発注、路盤と路床の設計はいずれも扱っていません。**体積と質量の換算式そのものは正しいので、トンの定義と密度、そして路盤の有無を直せば実務に使えます。
トンの定義が 1 割違う
面積(m2) = 長さ x 幅
締固め後体積(m3) = 面積 x 厚さ(mm) / 1000
合材質量(t) = 締固め後体積 x 密度(2.30〜2.35 t/m3)
発注量(t) = 合材質量 x (1 + ロス率 / 100)
材料費 = 発注量 x 合材単価(円/t)
米トン から t = 米トン x 0.9072
| 項目 | ツールの前提 | 日本の実務 | 換算 |
|---|---|---|---|
| 質量の単位 | 米トン 2,000 lb = 907 kg | メートルトン 1,000 kg | x 0.9072 |
| 締固め後の密度 | 145 lb/ft³ | 密粒度アスコンで 2.30〜2.35 t/m³ | 145 lb/ft³ = 2.323 t/m³ |
| 厚さ | インチ | mm | 1 in = 25.4 mm |
| 体積 | cu yd | m³ | 1 yd³ = 0.765 m³ |
| 単価 | $/ton | 円/t(合材)、円/m²(施工) | — |
**密度はほぼ一致しています。**145 lb/ft³ は 2.32 t/m³ で、日本の密粒度アスファルト混合物(13)の締固め後 2.30〜2.35 t/m³ と実質同じです。問題はトンです。ツールが「4.1 tons」と返した数字をそのまま t としてプラントに発注すると、必要量より 10% 多い合材を買うことになります。
厚さは表層だけでは決まらない
ツールは表層 1 層の厚さしか入力できませんが、日本の舗装は表層・基層・路盤・路床の積層構造で設計します。
| 用途 | 表層 | 基層 | 路盤 | 位置づけ |
|---|---|---|---|---|
| 住宅の駐車場(乗用車) | 密粒度 13、40〜50 mm | — | 再生クラッシャラン RC-40、100〜150 mm | 最も多い仕様 |
| 私道・小型トラックの通行 | 50 mm | — | RC-40、150〜200 mm | 設計 CBR で調整 |
| 集合住宅の構内道路 | 50 mm | 50 mm | 粒度調整砕石 + クラッシャラン 250 mm 級 | 交通量区分で決定 |
| 市道(重交通) | 改質 II 型 50 mm | 50 mm | 瀝青安定処理 + 下層路盤 | 舗装設計施工指針 |
**表層が米国より薄いのは路盤で持たせるからです。**ツールの FAQ は「乗用車なら 2〜3 in(50〜75 mm)の表層に 6〜8 in の砕石路盤」としますが、日本の住宅駐車場は表層 40〜50 mm が標準です。薄いぶんを路盤と路床で受けるので、**表層の厚さだけ真似しても路盤が不足していれば沈下します。**車道の設計では TA 法を使い、設計 CBR と舗装計画交通量から必要な等値換算厚を求め、各層の厚さに等値換算係数を掛けた合計がそれを上回るように決めます。代表的な等値換算係数は加熱アスファルト混合物 1.00、瀝青安定処理 0.80、セメント安定処理 0.55、粒度調整砕石 0.35、クラッシャラン 0.25 です(適用は指針の区分で確認してください)。
**寒冷地では凍上抑制層が加わります。**北海道や東北の内陸では凍結深度に応じて路床を凍上しにくい材料で置き換え、置換え厚は 500〜800 mm 級になります。ツールにこの層の入力はありません。
算例:5.0 m x 6.0 m の駐車場(30 m²、323 ft²)
表層は密粒度 13 を 50 mm、路盤は RC-40 を 150 mm。
- 表層の体積:30 x 0.05 = 1.50 m³(1.96 yd³)
- 合材質量:1.50 x 2.35 = 3.53 t
- 発注量(ロス 5%):3.70 t
- 同じ条件のツールの出力:323 ft² x 0.1667 ft = 53.8 ft³、x 145 lb = 7,800 lb → 3.90 米トン、ロス 5% で 4.10 tons
- 4.10 米トン を t に直すと:4.10 x 0.9072 = 3.72 t(ほぼ一致)
- 路盤(RC-40):30 x 0.15 = 4.5 m³、単位質量 約 2.0 t/m³ で 9 t
- 掘削の残土:30 x 0.20 = 6.0 m³(地山)、ほぐし土量は L = 1.2 として 7.2 m³
- 合材費:3.70 x 11,000 円 = 約 4 万円
- 工事一式の目安:30 x 8,000 円 = 約 24 万円
**合材費は総額の 2 割以下です。**日本の小規模舗装の見積は、掘削・残土処分・路盤・転圧・端部の縁石や水勾配の調整が主要費目で、合材そのものは 15〜20% にとどまります。ツールが返す材料費だけを見て予算を組むと、実際の請負金額と 4〜5 倍ずれます。
費用の内訳
| 費目 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 掘削・路床整正 | 1,000〜2,000 円/m² | 既存舗装の撤去は別 |
| 残土処分 | 3,000〜6,000 円/m³ | 建設発生土、受入先で大きく動く |
| 路盤(RC-40、t = 150 mm) | 1,500〜3,000 円/m² | 敷均し・転圧込み |
| 表層(密粒度 13、t = 50 mm) | 2,500〜4,000 円/m² | 合材・敷均し・転圧込み |
| 合材単価 | 8,000〜13,000 円/t | プラント引取、改質は割高 |
| 小規模駐車場の一式 | 6,000〜12,000 円/m² | 30 m² 未満は割高 |
掘削で出た土は建設発生土で産業廃棄物ではありませんが、既存のアスファルト塊は**産業廃棄物(がれき類)**として扱われ、再資源化施設への搬出とマニフェストが必要です。
施工条件と手続き
**温度管理が品質を決めます。**敷均しは一般に 110 ℃ 以上の温度帯で行い、締固め度は基準密度に対して 96% 以上を確保します。気温 5 ℃ 以下では原則として施工しません。ツールにはロス率の入力しかなく、温度と締固め度の管理は数量に現れません。
**透水性舗装の位置づけが違います。**日本では雨水流出抑制の指導により、住宅の駐車場や歩道で開粒度の透水性舗装を求められる自治体があります。透水性混合物は空隙率が高いため密度が下がり(2.0 t/m³ 前後)、同じ厚さでも合材の質量が 1 割以上減ります。ツールの 145 lb/ft³ をそのまま使うと過大になります。
道路上で工事をするなら道路占用許可(道路法第 32 条)と道路使用許可(道路交通法第 77 条)、歩道の切下げには道路管理者の承認が必要です。敷地内の駐車場舗装に建築確認は要りませんが、規模によっては都市計画法の開発許可が関わります。
よくある質問
駐車場 2 台分の合材は何トン必要ですか
5.0 m x 5.0 m(25 m²、269 ft²)に表層 50 mm なら、体積 1.25 m³、合材 2.94 t、ロス 5% で 3.1 t です。米トン表示なら 3.4 tons。路盤の RC-40 を 150 mm 入れるなら別に 3.75 m³(約 7.5 t)が必要です。表層の合材だけでは工事になりません。
ツールの ton は日本の t と同じですか
違います。米トンは 2,000 lb = 907 kg で、**0.9072 を掛けて t に直します。**プラントへの発注も現場の伝票もすべてメートルトンなので、換算を忘れると 1 割多く搬入されます。cu yd の出力も 0.765 を掛けて m³ に戻してください。
表層は何 cm にすべきですか
乗用車のみの住宅駐車場は 40〜50 mm、小型トラックが通る私道は 50 mm で路盤を厚くします。設計 CBR が 3 未満の軟弱な路床では、厚さを増やす前に路床改良(置換えやセメント安定処理)を検討します。ツールの 2〜4 in という既定は北米の路盤仕様を前提にした値で、日本の構成に当てはめる場合は路盤厚とセットで判断してください。
既存のアスファルトの上に重ねられますか
下地が健全なら 30〜40 mm のオーバーレイが可能で、この場合は乳剤(プライムコート・タックコート)の散布が入ります。ひび割れが全面に及んでいる、わだち掘れが深い、路盤が沈下しているといった場合は打換えが必要で、既存舗装の撤去と処分がそのまま費用に乗ります。ツールは新設の 1 層分しか計算しません。