倉庫面積計算ツール:T11 パレットと坪単価で読み直す
保管パレット数、ラックの段数、フォークリフトの種類を入れると、保管面積、通路面積、付帯面積、必要総面積と賃料の目安を返すツールです。
**キャリブレーションの注意。**パレットの既定は米国の GMA 規格(48 in x 40 in)、1 パレット位置は 15 ft²、フリュースペースは NFPA の考え方、賃料は 年額 / ft²(NNN)、有効天井高は北米の Class A 物流施設(32〜40 ft)が前提です。**日本の T11 パレット(1,100 x 1,100 mm)、坪単価の賃貸慣行、消防法のラック式倉庫、倉庫業法の施設設備基準はいずれも扱っていません。**面積の積み上げロジックは有効ですが、パレット寸法と段数、賃料は日本の条件で入れ直してください。
計算の流れ
床置きパレット数 = 総パレット数 / ラックの段数 x 保管密度係数
保管面積(m2) = 床置きパレット数 x 1パレット位置の面積
通路面積(m2) = 保管面積 x 通路率 / (1 - 通路率)
付帯面積(m2) = (保管面積 + 通路面積) x 0.25
必要総面積(m2) = 保管面積 + 通路面積 + 付帯面積
坪換算 = 必要総面積 x 0.3025
月額賃料 = 坪数 x 坪単価
パレットは T11 で計算する
| 規格 | 寸法 | パレット自体の面積 | ラック 1 位置の面積 | 主な地域 |
|---|---|---|---|---|
| T11(JIS Z 0601) | 1,100 x 1,100 mm | 1.21 m²(13.0 ft²) | 約 1.30〜1.40 m² | 日本、アジア |
| T12 | 1,200 x 1,000 mm | 1.20 m²(12.9 ft²) | 約 1.30 m² | 日本の一部業界 |
| GMA(ツールの既定) | 1,219 x 1,016 mm | 1.24 m²(13.3 ft²) | 1.40 m²(15.0 ft²) | 北米 |
| EUR 1 | 1,200 x 800 mm | 0.96 m²(10.3 ft²) | 1.16 m²(12.5 ft²) | 欧州 |
日本の一貫輸送用パレットは正方形です。T11 が標準になった理由はトラックの荷台幅にあります。大型トラックの荷台内幅は 2,350 mm 前後で、1,100 mm を 2 列並べると 2,200 mm でちょうど納まります。10 t 車なら 2 列 x 8 列 = 16 枚。GMA の 48 x 40 in は縦横で寸法が違うため向きを選べますが、T11 は正方形なので向きという概念がなく、ラックの間口も奥行も 1,100 mm 基準で固定されます。2 連ラックの間口は 2,300 mm、奥行 1,100 mm が標準的な割付です。
有効天井高が段数を決める
ここが総面積を最も大きく動かします。
| 有効天井高 | パレットラックの段数 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 4.5〜5.0 m(15〜16 ft) | 3 段 | 旧世代の倉庫、都市部の小規模施設 |
| 5.5 m(18 ft) | 3〜4 段 | 日本の在来型倉庫の標準 |
| 6.0〜6.5 m(20〜21 ft) | 4〜5 段 | 現行のマルチテナント型物流施設 |
| 9.8〜12.2 m(32〜40 ft) | 6〜8 段 | 米国の Class A 物流施設 |
**日本の倉庫は米国の半分の高さです。**ツールの既定が 4 段でも足りるのは、北米が 30 ft 級の有効高を前提にしているからで、日本の有効 5.5 m では 3 段に落ちる現場が普通にあります。1 段減るだけで床置き位置が 33% 増え、総面積も同じ比率で膨らみます。高さが取れない理由は建築基準法の高さ制限や用途地域だけでなく、地震荷重に対するラックの設計と、消防法のラック式倉庫の規定が効いています。
算例:500 パレット、リーチ型フォーク(通路率 30%)
T11、4 段の場合:
- 床置き位置:500 / 4 = 125
- 保管面積:125 x 1.33 = 166 m²
- 通路面積:166 x 0.30 / 0.70 = 71 m²
- 付帯面積:(166 + 71) x 0.25 = 59 m²
- 必要総面積:296 m²(89.6 坪、3,187 ft²)
有効天井高 5.5 m で 3 段しか組めない場合:
- 床置き位置 167、保管 222 m²、通路 95 m²、付帯 79 m²
- 必要総面積:396 m²(120 坪、4,263 ft²)
同じ 500 パレットで 1 段の違いが 30 坪になります。ツールの標準例(GMA・4 段)は 3,348 ft²(311 m²)ですが、日本で効くのはパレット寸法の差(5% 程度)ではなく段数の差です。天井高を先に測ってから段数を入れてください。
通路幅はリーチ型が前提
| 通路の種類 | 通路幅 | 機種 | 日本での位置づけ |
|---|---|---|---|
| 広通路 | 3.5〜4.0 m | カウンターバランス型 | 屋外・重量物、荷捌き場 |
| 狭通路 | 2.7〜3.2 m | リーチ型(電動) | 日本の倉庫内の標準 |
| 超狭通路 | 1.7〜2.0 m | ターレット型、マンアップ | 自動化前提の高層ラック |
**主流機種が逆です。**米国はカウンターバランス型の座席式が標準で、狭通路のリーチトラックは選択肢という位置づけですが、日本の倉庫内荷役はリーチ型が既定です。したがってツールで「wide aisle」を選ぶと、日本の実態より通路を取りすぎた面積が出ます。通路率は 25〜30% で入れるのが日本の実務値です。
賃料の建て方が違う
日本の倉庫賃料は 円 / 坪 / 月で、これに共益費が別建てで付きます。米国の年額 / ft²(NNN)とは分母も期間も違うので、必ず換算してください。
円/m2/月 = 円/坪/月 / 3.30578
ドル/ft2/年 の日本側相当 = 円/坪/月 x 12 / 35.583 / 為替
首都圏のマルチテナント型物流施設で 4,000〜7,000 円/坪/月、関西で 3,500〜5,500 円、地方で 2,000〜3,500 円が目安(立地と築年で大きく動く)。共益費は 500〜1,000 円/坪/月。上の算例の 89.6 坪なら、5,000 円/坪/月で月額 約 45 万円、年額 538 万円に共益費が乗ります。加えて敷金・保証金が賃料の 6〜12 か月分必要になるのが日本の慣行で、NNN の考え方には含まれない項目です。
営業倉庫として貸す・借りる場合は倉庫業法の登録が前提で、施設設備基準(軸重、防火・耐火性能、防湿、消火設備など)に適合する必要があります。米国には対応する営業許可制度がありません。
よくある質問
1,000 パレットに必要な面積は何坪ですか
T11、4 段、リーチ型(通路率 30%)で **約 180 坪(595 m²、6,400 ft²)**です。3 段しか組めない倉庫なら約 240 坪(793 m²)に増えます。平置き 2 段積みにすると 350 坪を超えるので、段数を積めるかどうかが賃料に直結します。ツールの回答(6,500〜7,500 ft²)は 4 段前提の値に対応しています。
T11 と GMA で何が変わりますか
1 パレット位置の面積は 1.33 m² 対 1.40 m² で 5% 程度の差ですが、影響が大きいのはラックの割付とトラックの積載効率です。T11 は正方形なので向きによる調整ができず、間口 2,300 mm の 2 連が事実上の標準になります。ツールでパレット規格を GMA のまま計算すると、面積は数 % 大きめに出ます。
ラック式倉庫の消防設備はどうなりますか
ラックの高さが 10 m を超える倉庫は消防法上の「ラック式倉庫」に該当し、ラック内スプリンクラーを含むスプリンクラー設備が必要になります。**有効天井高を上げて段数を稼ぐ設計は、この 10 m を境に設備費が跳ねます。**指定可燃物(合成樹脂類など)を大量に保管する場合は届出と基準の適用も加わります。米国の NFPA とは区分の立て方が違うので、所轄消防と早い段階で協議してください。
床の積載荷重はどう考えますか
日本の物流施設のスペックは 1 階 1.5 t/m²(15 kN/m²)、2 階以上 1.0〜1.5 t/m² が標準的です。倉庫は施行令第 85 条の表に用途が挙がっていないため実況に応じて定めますが、ラックの脚部は集中荷重になるため、面荷重だけでなく脚 1 本あたりの反力で確認します。ツールには床荷重の入力がないので、段数を増やす前に建物側のスペックを確認してください。